更年期から増える「手の痛み・こわばり」、年齢のせいで片づけていませんか?

 

「朝、指がこわばって動かしにくい」「ペットボトルのフタが開けにくい」「指の付け根が痛い」「手がしびれて夜に目が覚める」――このような手指の不調は、40〜60代の女性に多くみられます。

 

更年期(閉経前後)は女性ホルモン(エストロゲン)が大きく変動・低下する時期で、腱や関節の周囲(腱鞘・滑膜など)が刺激を受けやすくなり、痛み・こわばり・腫れ・しびれが出やすくなることがあります。こうした更年期に関連して起こる手の症状を、近年「メノポハンド(更年期の手指の不調)」と呼ぶことがあります。(2022年に日本手外科学会が命名した概念です)

 

ただし、メノポハンドは“病名”というより症状のまとまりです。実際には、ばね指(弾発指)手根管症候群ドケルバン病へバーデン結節など、原因となる疾患が隠れていることも少なくありません。さらに、症状が似ていても関節リウマチなど別の病気が関係する場合もあります。

 

この記事では、「更年期に手が痛い・こわばる・しびれる」ときに考えられる原因を整理し、セルフチェックのポイント、整形外科でできる検査と治療、受診の目安までをわかりやすく解説します。

※手のしびれが主症状の方は、既存の「手のしびれ」記事もあわせてご覧ください。

 

中野健一 院長の写真

監修者:たくみ整形外科上本町 院長 中野健一

資格・所属学会:

  • 医学博士
  • 日本専門医機構認定整形外科専門医
  • 日本専門医機構認定救急科専門医
  • 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
  • 日本医師会認定産業医
 

当院では2026年1月より
第2・4土曜日午前中
奈良県立医科大学整形外科学講座教授 河村健二医師による手外科専門外来を行っております。

 

メノポハンドとは?

メノポハンドは医学的な病名というより、更年期(閉経前後)に起こりやすい「手・指の痛み/こわばり/しびれ」などの症状をまとめた“総称”として使われる言葉です。

ただし原因は一つではありません。実際には、次のような疾患として現れることが多く、症状の出方(痛い場所・しびれる指・時間帯)で考える原因が変わります。

 

・ばね指(弾発指)
・手根管症候群
・ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
・へバーデン結節・母指CM関節症などの変形性関節症

 

「更年期だから仕方ない」と我慢するのではなく、どの病気がベースにあるのかを見極めて、早めに対処することが大切です。

 

なぜ更年期に手のトラブルが増えるの?

更年期(閉経前後)は、女性ホルモン(エストロゲン)が低下・変動する時期です。その影響で、関節や腱の周囲(腱鞘・滑膜など)が刺激を受けやすくなり、手や指の痛み朝のこわばり腫れしびれが出やすくなると考えられています。

 

とくに、腱や腱鞘の炎症が起きるとばね指のような引っかかりが出たり、むくみで神経が圧迫されると手根管症候群のような夜間のしびれにつながることがあります。

 

また、手指の症状は更年期だけでなく、産後・授乳期などホルモンバランスが大きく変動する時期にもみられることがあります。

 

セルフチェック:あなたの症状はどれに近い?

まずは「どこが」「いつ」「どんな動きで」つらいかを整理すると、原因が絞りやすくなります。

 

1)朝にこわばる・動かしにくい(動かすと少し楽になる)
・更年期の影響で腱や関節の周囲がむくみやすくなっている
ばね指変形性関節症(へバーデン結節、母指CM関節症)などが隠れていることも

2)指の付け根が痛い/曲げ伸ばしで引っかかる・カクンとなる
ばね指(弾発指)を疑うサイン
・朝に強く、使っているうちに少し楽になることがあります

3)親指〜中指がしびれる/夜〜明け方に強くて目が覚める
手根管症候群を疑うサイン
・手を振ると少し楽になる、細かい作業で悪化することがあります

4)親指側の手首が痛い(抱っこ・スマホ・家事で悪化)
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)を疑うサイン
・物をつかむ、ひねる動作で痛みが出やすいです

5)指先の関節が腫れる・曲がってきた・ゴツゴツする
へバーデン結節(指先の変形性関節症)を疑うサイン
・痛みが波のように出たり、つまむ動作がつらくなることがあります

 

ここがポイント:メモすると診察がスムーズです
・いつから(例:1か月前から)
・どの指(右?左?何指?)
・どの時間帯(朝/日中/夜間)
・どんな動きで悪化(家事、PC、スマホ、抱っこ、運転など)
・しびれの範囲(親指〜中指、手のひら側、指先だけ等)

 

注意:更年期だけと決めつけないほうがいいサイン
・左右の手で同じように複数の関節が腫れる
・朝のこわばりが長く続く(目安として30分以上が毎日続く)
・指だけでなく手首や足の指など他の関節も痛む
・だるさ、微熱、体重減少などがある

こうした場合は、関節リウマチなど別の病気の可能性もあるため、早めの受診がおすすめです。

 

メノポハンドを整形外科でできる検査

問診・診察
「どの指がしびれるか」「どこが痛むか」「どんな動きで悪化するか」「夜間〜明け方に強くなるか」などを確認し、原因を絞り込みます。

 

誘発テスト
手根管症候群や腱鞘炎が疑われる場合に、症状が再現されるかをチェックします。

 

画像検査(レントゲン)
必要に応じて、関節の変形や骨の状態を確認し、変形性関節症などの可能性を評価します。

 

採血
関節リウマチなど、炎症性疾患が疑われる場合に評価します。

 

メノポハンドの治療:まずは保存療法から(必要に応じて注射・手術)

メノポハンドは原因となる疾患(ばね指、手根管症候群、ドケルバン病、変形性関節症など)によって治療が変わります。基本は、体への負担が少ない方法から段階的に検討します。

 

1)安静・負担の調整(まず最優先)
手や指を使う量を一時的に減らし、痛みが出やすい動作(強く握る、ひねる、長時間のスマホ・PC作業など)を見直します。日常の負担が続くと改善しにくいため、最初に行う重要な対策です。

 

2)装具(サポーター)
症状に合わせて、手首や指を支える装具を使用します。特に手根管症候群では、夜間にしびれが強い場合に装具が有効なことがあります。

 

3)内服・外用(痛み止め)
炎症や痛みを抑える薬(飲み薬・湿布など)を用いて、日常生活の支障を軽減します。胃腸が弱い方や持病がある方は、体質に合わせて調整します。

4)注射(症状が強い場合の選択肢)
ばね指や腱鞘炎、手根管症候群などで、痛みや引っかかり、しびれが強い場合に検討します。症状の程度や経過に応じて、注射の適応や回数を判断します。

 

5)手術(保存療法で改善しない場合)
装具や薬、注射などの保存療法で十分な改善が得られない場合や、しびれが進行して筋力低下が出ている場合、日常生活に大きな支障がある場合には手術を検討します。早めに判断したほうが回復が見込めるケースもあります。

 

「更年期だから仕方ない」と我慢せず、症状のタイプに合わせて適切に治療を選ぶことが大切です。

 

メノポハンドと婦人科治療(HRT)との関係は?

更年期以降の手指症状では、整形外科的に原因となる疾患(ばね指、手根管症候群、変形性関節症、関節リウマチなど)を確認・除外したうえで、ホルモン補充療法(HRT)が症状の緩和に関係する可能性が示唆されています。

ただし、手や指の症状は原因が複数重なることも多く、HRTの適否は体質や持病、症状の内容によって変わります。

当院では整形外科として手指・神経・関節の評価を行い、必要に応じて婦人科受診も含めてご案内します。

 

エクオール(エクオル)とは?更年期の手指症状との関係

エクオールは、大豆イソフラボン由来の成分のひとつで、更年期の不調に関心が高い成分として知られています。体内で作れるかどうかは腸内環境などの影響を受け、個人差があります。

更年期の手指の不調(痛み・こわばり・違和感など)についても、背景にホルモン変動が関与する可能性があるため、生活習慣の調整や治療とあわせて、こうした成分に関心を持つ方も増えています。

ただし、手指症状の背景には、ばね指・手根管症候群・ドケルバン病・変形性関節症など複数の原因が隠れていることがあります。サプリメントだけで判断せず、まずは原因を見極めたうえで、治療・セルフケアと組み合わせて考えることが大切です。

 

当院で導入予定:エクエル プチについて

当院では、エクオールを含むサプリメントとして「エクエル プチ」の導入を予定しています。ご希望の方は、診察時または受付でお気軽にご相談ください。

※サプリメントは医薬品ではありません。効果には個人差があり、症状や体質によって合う・合わないがあります。

※ 当院で「エクエル プチ」のご購入をご希望の方は、必ず診察に入っていただき、医師の診察を受けていただく必要がございます。

 

注意点

  • 大豆由来のため、大豆アレルギーのある方は摂取を避けてください。
  • 妊娠中・授乳中の方、乳幼児・小児は、摂取前に必ず医師へご相談ください。
  • 治療中の病気がある方、服薬中の方は、摂取前に医師へご相談ください。
  • 体調に合わないと感じた場合は中止してください。

 

メノポハンドに対して自宅でできるセルフケア(悪化させないコツ)

更年期の手指症状(痛み・こわばり・しびれ)は、日々の負担や冷えで悪化しやすい一方、セルフケアで楽になることも少なくありません。まずは「悪化させない工夫」から始めましょう。

 

冷え対策:手首・指先を温める
冷えると血流が落ち、こわばりや痛みが強くなりやすいです。入浴で温めるほか、外出時は手袋、就寝前は温タオルやカイロなども活用してください。

 

朝はゆっくり動かす:起床直後の準備運動
朝のこわばりがある日は、いきなり強く握らず、指を軽く曲げ伸ばししたり、手をグーパーするなど、無理のない範囲で動かして血流を促します。

 

反復作業を減らす:こまめに休憩を入れる
スマホ操作、家事、PC作業など「同じ動きの繰り返し」は腱や神経に負担がかかります。30分〜1時間ごとに短い休憩を入れ、手首や指を軽くほぐしましょう。

 

痛い動作の工夫:道具で負担を減らす
ペットボトルのフタ、包丁、フライパン、掃除用具などは負担が集中しがちです。太めのグリップ、滑り止め、開けやすい道具への変更などで、握る力やひねる動作を減らします。

 

朝のこわばりが強い方は、起床直後の軽い運動で楽になることがあります。痛みが強い日は無理をせず、症状が続く場合は早めにご相談ください。

 

これってメノポハンドかな?受診の目安

次のような症状がある場合は、早めに整形外科へご相談ください。

 

  • しびれで夜に目が覚める、または親指の力が入りにくい
  • 指の引っかかりが増えて、曲げ伸ばしがしづらい
  • 腫れ痛みが続き、家事や仕事に支障が出ている
  • 左右の関節が腫れる、またはこわばりが強い(関節リウマチなどが疑われる)
  •  

放置すると悪化したり、変形につながるケースもあります。気になる症状があれば、我慢せず早めにご相談ください。

 

当院でのご相談について(大阪市天王寺区・上本町)

たくみ整形外科上本町では、手指の痛み・しびれ・こわばりについて、整形外科専門医が診察し、必要に応じて検査・治療をご提案します。

 

また当院では、手の症状に対して専門的な診療を行う「手外科専門外来」も実施しています。症状が長引く方、繰り返す方、日常生活に支障が出ている方は、お気軽にご相談ください。

 

メノポハンドに関するよくある質問(FAQ)

Q. メノポハンドは自然に治りますか?
A. 症状が軽い場合は、セルフケアや負担の調整で落ち着くこともあります。ただし、ばね指・手根管症候群・変形性関節症などが背景にある場合は、適切な治療で悪化を防ぐことが大切です。

 

Q. しびれがあるときは何科に行けばいいですか?
A. 手首・肘・首など整形外科領域の原因が多いため、まずは整形外科で評価するのがおすすめです。原因により、必要に応じて他科連携もご案内します。

 

Q. 関節リウマチとの違いは?
A. 症状が似ていることがあるため、診察に加えて採血や画像検査で見分けます。関節リウマチは、関節の腫れや朝のこわばりが目立ち、手指や手首に出やすいことがあります。

 

Q. ばね指は注射で治りますか?
A. 症状の程度によりますが、保存療法や注射で改善する例があります。引っかかりが強い場合や、繰り返す場合は手術を検討することもあります。

 

Q. 手根管症候群は放置するとどうなりますか?
A. 進行すると親指の付け根の筋肉がやせ、つまむ・ボタンを留めるなど細かい動作が難しくなることがあります。早めの評価が重要です。

 

メノポハンドのまとめ

  • 更年期に増える手指の痛み・こわばり・しびれは、「メノポハンド」と呼ばれることがあります。
  • メノポハンドは病名ではなく、ばね指・手根管症候群・ドケルバン病・へバーデン結節などが背景にあることがあります。
  • 症状が似ていても、関節リウマチなど別の病気が隠れている場合があるため、原因の見極めが大切です。
  • セルフケアで楽になることもありますが、しびれの悪化や指の引っかかり、痛みが続く場合は早めの受診がおすすめです。

「更年期だから仕方ない」と我慢せず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。