はじめに:手のしびれ、放っていませんか?
「手の指先がピリピリする」「物を落としやすくなった」「朝起きると手がしびれている」
こうした症状を、「年齢のせいかな」とつい見過ごしていませんか?
実は、50代以降になると、首や手首などの神経に関わる変化が原因で“手のしびれ”を訴える方が増えてきます。
この記事では、整形外科専門医の立場から、手のしびれの代表的な原因や診断、そして治療の選択肢について、できるだけわかりやすく解説していきます。

監修者:たくみ整形外科上本町 院長 中野健一
資格・所属学会:
- 医学博士
- 日本専門医機構認定整形外科専門医
- 日本専門医機構認定救急科専門医
- 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
- 日本医師会認定産業医
1. 手のしびれの代表的な原因
手のしびれは、神経のどこかで圧迫や障害が起きているサインです。
50代以降によくみられる代表的な原因をご紹介します。
疾患名 | 主な原因 | 特徴的な症状 |
---|---|---|
頚椎症性神経根症 | 加齢による頚椎の変化で神経が圧迫される | 首の痛みと腕〜手のしびれ、感覚が鈍くなる、力が入りにくい |
頚椎椎間板ヘルニア | 椎間板が飛び出して神経を押す | 急に起きた首〜肩、腕のしびれと痛み |
手根管症候群 | 手首で正中神経が圧迫される | 親指〜中指のしびれ、ボタンが留めにくい、夜中や朝にしびれが強くなる |
肘部管症候群 | 肘の内側で尺骨神経が圧迫される | 小指側のしびれや握力低下、細かい作業がしづらくなる |
糖尿病性末梢神経障害 | 血糖の影響で神経が傷つく | 両手足のしびれやピリピリ感、左右対称に出やすい |
どの指にしびれが出ているか、どんな時に症状が強くなるかなどで、ある程度原因を絞り込むことができます。
2. 整形外科での診断と検査
問診・身体診察
「いつから?どこが?どんなふうに?」を丁寧にお聞きし、神経学的検査(例:チネル徴候、ファーレンテストなど)で状態を把握します。
画像検査
レントゲン検査で骨の変形や椎間板の狭さを確認
MRI検査(必要に応じて)で神経がどこで圧迫されているかを詳しく調べます
当院では、必要に応じて提携先でMRI検査を行い、より正確な診断に努めています。
3. 治療法:まずは体に負担の少ない方法から
お薬による治療
神経の痛みに効果のあるお薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)や、痛み止め(アセトアミノフェンなど)を使用します。
リハビリ・物理療法
姿勢の改善や、首・肩まわりの筋肉のバランスを整えるリハビリ(理学療法士と一緒に)
ホットパックや電気治療などで神経のまわりの筋肉をやわらげる
日常生活のアドバイス
長時間のスマホやパソコン作業を控える
枕の高さを調整して、首に無理な角度がかからないようにする
冷えやストレスもしびれを強めるため、温かさとリラックスも大切です
神経ブロック注射(必要に応じて)
一時的に神経の炎症や痛みを抑える目的で行うことがあります。
4. 手術が必要になる場合は?
症状が次のような場合、手術が検討されることもあります:
筋力の低下が進んできた
日常生活に支障をきたすほどしびれが強い
保存療法を数週間行っても改善が乏しい
代表的な手術には、神経の圧迫を和らげる「神経除圧術」や、「椎間板の摘出」などがあります。無理に手術をすすめることはありませんが、必要な場合はしっかりと説明のうえでご提案します。
5. まとめ|しびれは体のサイン。早めの対応が安心につながります
手のしびれは、首や肘、手首などさまざまな場所の神経が関係していることがあります。
特に50代以降では、加齢による変化や生活習慣が影響して症状が出やすくなります。
早めに診断し、適切な治療を受けることで、症状の進行を防ぐことができます。
大阪市天王寺区・上本町エリアで手のしびれにお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
整形外科専門医が丁寧に対応いたします。
当院では、時間予約制ではございませんので、診療時間内に直接ご来院いただくか、インターネットで当日WEB順番受付を行ってご来院ください。
初診の方でも当日WEB順番受付をご利用いただけます。
詳しくは、下記、インターネットでの順番受付についてのページをご確認ください。
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