はじめに:膝の痛み、年齢のせいとあきらめていませんか?
「なんか膝に違和感がある」「階段の昇り降りが痛い」「膝が腫れて正座ができない」
こんな膝のお悩み、日常の中で少しずつ増えていませんか?
50代を過ぎる頃から、関節のすり減りや筋力の低下により、膝に痛みや違和感を感じる方が多くなります。
もしかすると、その症状は変形性膝関節症をはじめとした整形外科的な疾患かもしれません。
この記事では、整形外科専門医の視点から、膝の痛みの原因となる代表的な疾患と、なかでも頻度の高い変形性膝関節症について、その特徴や治療法、対処のポイントをわかりやすく解説します。

監修者:たくみ整形外科上本町 院長 中野健一
資格・所属学会:
- 医学博士
- 日本専門医機構認定整形外科専門医
- 日本専門医機構認定救急科専門医
- 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
- 日本医師会認定産業医
1. 膝の痛みで考えられる疾患(50代以降の方向け)
膝の痛みはひとつの原因だけでなく、いくつかの疾患が重なっていることもあります。50代以降の方に多い疾患を以下にまとめます。
疾患名 | 特徴・症状 |
---|---|
変形性膝関節症 | 加齢により軟骨がすり減り、動き始めや階段で痛みが出る |
半月板損傷 | 階段やしゃがみ動作で膝の引っかかりや痛みが出ることも。変形性膝関節症と併発しやすい |
関節リウマチ | 朝のこわばり、左右対称の関節の腫れや痛み。膝にも症状が出ることがある |
滑液包炎(膝蓋下滑液包など) | 膝のお皿の前や内側に腫れや熱感を伴う痛み |
痛風・偽痛風 | 発作的に起こる激しい膝の腫れと痛み。膝関節にも起こりうる |
骨壊死(大腿骨顆部) | 更年期以降の女性に多く、突然の膝の痛みが特徴。MRIで診断される |
この中でも変形性膝関節症が最も頻度が高く、放置されやすいため、次章で詳しく解説します。
2. 変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、膝の関節軟骨がすり減り、炎症や関節の変形が進行する疾患です。
主な特徴:
初期は動き出しの膝の痛み(朝や歩き始め)、違和感
進行すると階段の昇り降りや長時間歩行が困難に
最終的には関節の変形が目立ち、可動域制限が強くなる
日本人女性に多く、加齢・肥満・膝への過剰な負荷が主な要因とされています。
3. 主な症状と進行段階
変形性膝関節症は、進行段階によって症状が異なります。
段階 | 症状 |
初期 | 動き始めの痛み、こわばり、違和感 |
中期 | 歩行中の痛み、階段の昇り降り困難、関節の腫れ |
末期 | 安静時も痛い、膝の変形、可動域の制限 |
※症状は徐々に進行するため、「年齢のせい」と放置することで悪化してしまうケースが少なくありません。
4. 整形外科での診断方法
問診・視診・触診
痛みの部位、発症時期、日常生活での支障を詳しくお聞きします
画像検査
レントゲン検査:関節の隙間の減少、骨の変形を確認
MRI検査(必要時):軟骨や半月板、滑膜の状態を詳細に評価
当院では、必要に応じて提携医療機関でMRI撮影を行い、より正確な診断に努めています。
5. 変形性膝関節症の治療法
保存療法(まずはここから)
薬物療法:消炎鎮痛薬、ヒアルロン酸注射など
物理療法:電気治療・温熱療法・超音波治療など
装具療法:サポーター、足底板など
運動療法(リハビリ):
大腿四頭筋トレーニング(膝を支える筋肉)
股関節・体幹の安定化トレーニング
ストレッチ・関節可動域訓練
※当院では理学療法士が常駐し、一人ひとりの状態に合わせた運動プログラムを実施しています。
手術療法(保存療法で効果が乏しい場合)
関節鏡手術:関節内の洗浄や滑膜切除など
高位脛骨骨切り術:若年者の片側型に適応
人工膝関節置換術:末期例に対して行う根治的治療
手術をご希望の場合には、提携医療機関またはご希望の医療機関にご紹介させていただきます。
手術の内容にかかわらず、術前・術後のリハビリが非常に重要です。
6. 生活で注意したいポイント
正座・あぐらなど膝に負担のかかる動作を避ける
体重管理(BMIの改善)
筋力・柔軟性の維持
冷えや湿度による影響を避ける(適度な保温も大切)
小さな工夫の積み重ねが、症状の悪化を防ぎ、快適な生活につながります。
7. まとめ|早期の診断と継続的なケアが大切です
膝の痛みをそのままにしておくと、症状が徐々に進行し、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
特に変形性膝関節症は、早期に発見し、適切な治療とリハビリを行うことで進行を抑えることが可能です。
また、半月板損傷や骨壊死など、中高年以降に見られる他の疾患が膝の痛みの背景にあるケースも少なくありません。
大阪市天王寺区・上本町エリアで膝の痛みにお悩みの方は、ぜひ診察を受けてみてください。私たちは丁寧な診断と治療で、地域の皆さまの快適な生活をサポートいたします。
「歳のせいだから…」と我慢せず、まずはお気軽にご相談ください。
当院では、時間予約制ではございませんので、診療時間内に直接ご来院いただくか、インターネットで当日WEB順番受付を行ってご来院ください。
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